GlycanBuilderの概要
GlycanBuilderは、糖鎖構造を直感的に可視化・編集できるオープンソースの描画ツールです。糖鎖生物学や糖鎖解析の研究分野において広く利用されており、複雑な糖鎖構造を正確かつ簡潔に表現することができます。
また、作成した糖鎖構造をもとに、糖鎖遺伝子情報や生物種、立体構造などの関連情報をデータベースから検索する機能も備えており、研究の効率化や知識の統合にも貢献しています。

開発の経緯
糖鎖は、DNAやタンパク質といった他の生体分子と比べて、構造の記述や可視化が困難とされてきました。そのため、研究者が糖鎖構造を容易に描画・共有できる支援ツールが強く求められていました。
このニーズに応える形で、2007年頃に欧州の研究プロジェクト「EuroCarbDB」 の一環として、GlycanBuilderの初期版が開発されました。
現在の開発体制
EuroCarbDBプロジェクトの終了後、GlycanBuilderの開発は創価大学と公益財団法人野口研究所に引き継がれました。
現在は、公益財団法人野口研究所が中心となって、ユーザーインターフェースの改良や新機能の追加、可視化表現の拡張など、継続的な開発と改善が行われています。
謝辞
本ソフトウェアの開発の一部は、国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)のNBDCによる支援を受けて実施されました。
引用について
GlycanBuilderを論文や発表資料で引用される場合は、以下の文献をご利用ください:
Shinichiro Tsuchiya, Nobuyuki P. Aoki, Daisuke Shinmachi, Masaaki Matsubara, Issaku Yamada, Kiyoko F. Aoki-Kinoshita, Hisashi Narimatsu,
Implementation of GlycanBuilder to draw a wide variety of ambiguous glycans,
Carbohydrate Research, Volume 445, 2017, Pages 104–116.